蚕起きて桑を食う(かいこおきてくわをくう)
小満 初候は新暦では5月21日から25日頃
蚕が元気よく桑の葉をいっぱいたべて育つ時期です。
繭は美しい絹糸となります。
絹糸をつくる蚕は「お蚕さん」や「お蚕様」などと呼ばれ大事に育てられました。
候のことば
木の葉採り月(このはとりつき)

旧暦の4月にあたるこの時期には、木の葉採り月という呼び名があります。
蚕の餌となる桑の葉を採集する時期であることからこのような呼び方さされるようになりました。
蚕は桑の葉っぱしか食べないので、この頃から秋まで桑の葉を刈り取る日々が続きます。
江戸時代から戦前のころまで、養蚕は一大産業でした。
郊外では桑畑のある光景は日常風景に溶け込んでいました。
寒い時期には火鉢で暖を取り大切に飼育されいたそうです。
蚕は幼虫の時期にサナギとなるために繭を作りますが、この繭を作るときに使うのが口から吐き出す糸。
この糸で自らの身を包み繭となります。
繭に包まれサナギの成長するのを待つのですが、美しい絹糸はこの繭を湯でほどくことで作られます。
旬の兆し
田毎の月(たごとのつき)

「田毎の月」は、田んぼの水に月が映る光景で、松尾芭蕉などが句にして詠んでいたり、安藤広重の『六十余州名所図会』の一つ「信濃 更科田毎月鐘台山」や『本朝名所』の一つ「信州更科田毎之月」などにも描描かれている情景です。
水を張った棚田の上に、浮かんだ月。
なだらかな山の斜面に作られた大小の田んぼの水面に月の影が映し出された光景を田毎の月と呼びます。
長野県千曲市(ちくまし)の姨捨の棚田が名所として有名です。
旬の野菜
そらまめ

そら豆は桜の咲いた二ヶ月後が旬の時期。
南のほうでは4月の後半、北では6月中旬以降でしょうか。
そら豆を美味しくいただくには、なんといっても鮮度が大事です。
塩茹でやさやに入ったままグリルなどで焼いても美味しく食べられます。
調理はできれば手に入れたらすぐ行いましょう。
選ぶ場合のポイントはさやに黒ずみがなく、光沢のあるものを選ぶといいでしょう。
アスパラガス

アスパラガスは日本の旬のものではありませんが、ヨーロッパではアスパラガスの初物を心待ちにしている人々は多くいるようです。
ヨーロッパではグリーンアスパラよりもホワイトアスパラガスがありがたがられます。
光の当たらない場所で育てたホワイトアスパラガスは塩ゆでしたものに卵黄・レモン果汁・バターで作ったオランデーズソースをかけて食べるのがポピュラーな食べ方。
アスパラガスに含まれるアスパラギン酸は疲労回復などに効果があると言われ、昔から薬用としても食されていました。
旬の魚介
鱚(きす)

感じでは魚編に喜ぶとかくキスは、江戸前の天ぷらの代表格として知られています。
喜ぶという字が含まれるキスは縁起お良い魚としても知られています。
名前の由来は諸説ありますが、淡泊を意味する「生直(きす)」からきていると言われます。
旬は初夏。
「海の女王」、「海の白雪姫」「渚の貴婦人」などと呼ばれるキスですが、火を通すとハラハラと身が崩れる柔らいのですが、旬の時期には白身に淡白ですが、脂が乗り美味しくいただけます。
江戸前寿司ではネタにしたかったようですが、現代では握り寿司でも上品な旨味を堪能できます。
旬の果物
琵琶(びわ)

現在では高給果物としてお使い物としても重宝される「琵琶」。
古くは庭には植えては行けないとされてきました。
その根拠は諸説ありますが、枇杷の葉で作る茶や焼酎漬けが喉の痛みや咳の改善など多くの薬効があるので、植えていると琵琶を目当てに人が訪れるためとも言われています。
旬の行事
三社祭(さんじゃまつり)

開催は5月第三金曜日から日曜日まで
浅草で行われる三社祭。
初日の金曜日には、浅草芸者や田楽、てこ舞や白鷺の舞などの名物大行列が登場。
最終日の三日目には、三体の本社神輿を担ぎます。
この三体の神輿はそれぞれ、浅草寺の本尊を祀った土師真中知(はじのあたいなかとも)、土師真中知を川から宮戸川(現在の隅田川)からすくい上げた漁師の檜前浜成(ひのくまはまなり)、檜前竹成(ひのくまたけなり)の兄弟を神様として祀り神輿としたものです。
加茂まつり(かもまつり)

開催日は5月21日
新潟県加茂市にある青海神社(あおみじんじゃ)で行われる加茂まつり。
青海神社の春季例大祭、その歴史は平安時代までさかのぼります。
お産の斑と子供の成長を感謝し、生後1年ほどの乳幼児を背負った母親が神輿の行列に参加します。
乳児を着飾り、華やかさを競って御神幸のお供をすることから、別名「乳母祭」としても世に知られています。
馬鹿囃子(ばかばやし)

開催日は5月24日
馬鹿囃子は福井県福井市の火産霊神社(ほむすびじんじゃ)の例祭で奉納されるお囃子です。
神社に古くから受け継がれる、ひょっとこやお多福、出目金、赤猿など37個のお面を付け、太鼓やこっけいな仕草や踊りを奉納します。
鶴岡天神祭(つるおかてんじんさい)

開催日は5月25日
山形県鶴岡市の鶴岡天満宮は、学問の神様、菅原道真をまつっています。
鶴岡天満宮で行われる鶴岡天神祭は別名、「化け物まつり」とも呼ばれています。
祭りの参加者は色とりどりの長襦袢に角帯を絞め、裾をからげて編笠と手ぬぐいで顔を隠して無言のまま酒を振る舞います。