麦秋至(ばくしゅういたる)
小満 末候は新暦では5月31日から6月4日頃
5月末から6月初旬は麦の収獲の時期。
この次期を麦の秋と呼び、実りの季節を感じます。
二毛作のできる地方では、表作では米を作り、裏作で麦を植えています。裏作の麦は早めに刈り取り稲を植えます。
裏作には、麦のほか、大豆や菜種、蓮華などが用いられました。
候のことば
衣替え
夏物への衣替えの時期。
昔は衣替えのことを更衣と呼び、4月と10月に行っていましたが、明治以降は6月と10月となりました。
学生の制服や官公庁で制服を着用する職種ではこの時期に夏服へと切り替わります。
もっとも、昨今では早い時期から暑くなるので、学校によっては5月初旬から夏服と冬服をきてもいい衣替えの移行期間に設定されているところも多いようです。
クローゼットの福も冬服から夏服へ入れ替えましたか。
入れ替えの際には、もう着ない服の処分や新しい服の購入などいろいろ考えつつ作業をするといいでしょう。
旬の兆し
麦嵐(むぎあらし)

刈り取り前の麦畑は、黄金色に染まります。
この時期、麦の穂をゆらす「風を麦嵐」や「麦の秋風」などと呼びます。
また、このころ古雨のことを麦雨と呼ばれることも。
旬の野菜
大麦

麦茶の原料となる大麦。
そのまま食べることは少なく、加工して使われることの多い食材です。
麦茶はよく洗った大麦を日陰で乾燥させ、フライパンで中火で炒り、弾け始め煙が出てくる頃に弱火にしじっくり入ります。色が濃くなり香りが漂い始めたら出来上がりです。
手作りの麦茶は香ばしい香りが広がります。
旬の魚介
縞鯵(しまあじ)

シマアジはアジの仲間ですが、アジよりも大きなものも多く獲れ中には一メートル以上の大物も。
現在は、養殖が普及していますが、天然の縞鯵は高級魚。ブリなどよりも高値で取引されています。
夏から初秋にかけてが旬。
鮮度の良いものはやはり、刺し身でいたたきたいですね。
べら

ベラは関東では食べる習慣はほとんどありませんが西日本では比較的ポピュラーな食材として知られています。
旬は春から夏にかけての時期。
白身魚であるべらの身はクセがなく淡泊なので刺し身でも美味しく食べられます。
塩やきや煮付けも美味です。
広島の郷土料理であるはぶて焼きはベラを使った料理です。
旬の野鳥
四十雀(しじゅうから)

シジュウカラは名前の通りスズメの仲間。
頭からおなかを通り尾っぽまで黒い縦縞模様があるのが特徴です。
高く澄んだ声で鳴く姿は街中でも観ることができます。
旬の行事
路地の日

6月2日は六(ろ)と二(じ)で路地の日とされています。
長野県下諏訪にある「路地を歩く会」が路地の趣を見直そうと作った日です。
下諏訪はかつて、日本橋と草津を結ぶ中山道と、日本橋と甲府を結ぶ甲州街道が出会う宿場町でした。
人が往来する歴史ある街には路地がおおく作られ、表通りからは見えてこない人々の生活や日常の素顔を垣間見ることのできる散歩道といえるでしょう。
湯殿山神社本宮開山祭(ゆどのさんじんじゃほんぐうかいざんさい)

開催日は6月1日
湯殿山神社本宮は出羽三山の奥の院です。
写真等の撮影は禁止され、参拝の際には裸足でお祓いを受けてから出なければなりません。
湯殿山神社本宮には社殿はなく、温泉の湧く巨岩が御神体です。
冬場は豪雪で閉ざされ、6月1日に山開きのために開山祭が行われます。
貴船祭(きふねまつり)

開催日は6月1日
京都市内にある貴船神社は、水の神を祭っています。
貴船神社の本宮には御神水がが湧き出ていて、水占みくじは、おみくじを御神水に浮かべると文字が浮かび上がるという不思議なおみくじです。
また、貴船は「きふね=気生根」の意味も持ち、気が生じる根源の地であることから、貴船神社を訪れると生気がよみがえるとも言われています。
貴船祭では、神輿の巡行や子供が船形石の回りを歩く子供千度詣」やヤマタノオロチ退治を題材とした神楽の奉納なども行われます。
熱田祭(あつたまつり)

開催日は6月5日
愛知県名古屋市にある熱田神宮で行われる熱田祭。
熱田祭には天皇陛下の勅使も参向する由緒ある格式高い祭事です。
熱田祭の当日の夕方には「献灯まきわら」と呼ばれる365個の提灯に明かりが灯されます。
また、熱田神宮近くの公園からは1000発ほどの奉納花火が打ち上げられます。
熱田神宮本殿の北にある末社は、「お清水さま」と呼ばれる湧き水があり、美肌に効果があるとも言われています。
おしくらごう

開催日は6月第一日曜日
山口県萩市の玉江浦地区で受け継がれている和舟の競漕。
ハチマキに下帯の若者たちが船に乗り込み、櫓や櫂を漕ぎます。
由来は不明ですが、300年以上続く伝統行事です。